子宮というのは子宮頸部(しきゅうけいぶ)・子宮体部(しきゅうたいぶ)というふうに分かれていて、胎児が成長する子宮体部の下部、腟に接続する部分を子宮頸部と言っています。
子宮頸部は平滑筋という内臓を作る筋肉の塊で、その表面を粘膜が覆っていて、この部分に起こるがんを子宮頸がんと呼んでいます。
子宮体部のがんは40代前後の方に好発するがんとして知られており、人間ドックや検診などで重点的に注意される項目になります。
これに対して、子宮頸がんは20代〜30代前半の女性に発症することがある非常に若年層を主体にしたがんです。
原因となるウイルスの感染を予防することが難しいので、予防措置や治療に関する知識を身につけておくことが大切です。
原因・メカニズム
子宮頸がんは子宮体がんと異なり、ほとんどの場合ウイルスが原因となります。
このウイルスの感染を防ぐことで子宮頸がんの予防ができるので、ウイルスに関して適当な知識を身につける必要があります。
原因となるウイルス
子宮頸がんの原因ウイルスはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスです。
パピローマというのはいわゆるイボの事で、皮膚にできるイボを作るウイルスと同じような種類(数百種類あるうちの数百種類)のウイルスによって子宮頸がんが発症します。
このウイルスが子宮頸部に感染すると子宮頸部の粘膜ががん化し、そのまま治療を受けずにいると子宮頸がんになってしまうのです。
原因ウイルスの感染経路
ヒトパピローマウイルスは日常的に至る場所に存在するウイルスで、実はごくありふれた存在だと言われています。
このため、性交渉などを通じて膣内にウイルスが入り込んでしまい、子宮頸部にウイルスが付着します。
ヒトパピローマウイルスが感染しても全てのケースでがん化に至るというわけではないのですが、非常に危険な存在である事は間違いありません。
なぜがんが発症するのか
がんが発症する理由は細胞への繰り返されるダメージです。
子宮頸部の粘膜にウイルスによるダメージが加わるとやがて細胞は異形成という変化を起こします。
この状態から元に戻る事もあるのですが、この状態からさらに細胞にダメージが加わると細胞分裂の仕組みが破綻したがん化した細胞に変化してしまうのです。
細胞分裂の能力があまりに進展しすぎると無尽蔵に細胞が増殖し、やがて健康な組織にまでダメージが広がってしまうのです。
がんの進展はどのように広がるのか
子宮頸がんが進展するとやがて子宮体部や周囲の直腸・膀胱・尿道などの方向にがんが進展してしまいます。
子宮頸部のみでがんが止まっているのであれば手術により妊娠可能性を残したまま治療をする事ができるのですが、周囲にあまりに拡大してしまうと命の危険も出てくるので、注意が必要です。
症状
子宮頸がんの症状は非常にわかりづらく、多くの方は初期症状の段階で気づくことができません。
子宮頸がんの検診で異常を指摘され、子宮頸がんと気づく方が大半なので注意が必要です。
初期症状
子宮頸がんの初期症状はあまり明確でなく、おりものに血が混ざったり、性交渉時に痛みを感じたりする程度です。
症状が明確でないので、なかなか自覚症状を伴って症状に気づく事が難しい病気です。
晩期症状
子宮頸がんの晩期症状は周囲臓器への影響です。
排尿に困難を感じたり、排便時に疼痛を感じたり、子宮の周囲にある様々な臓器に影響が及びます。
この段階では手術による生活の質の低下が激しいので、化学療法や放射線療法を活用してがんを縮小しながら治療を考えます。
転移
子宮頸がんも周囲に転移を引き起こします。
子宮頸がんの転移は、周囲のリンパ節や血管を通じて肺や肝臓に転移したりする事があるので注意が必要です。
予防方法
子宮頸がんは初期症状が乏しく、なかなか悪化を防いだり、がんの発症を防ぐ事が難しいがんです。
必要な予防処置を講じて、子宮頸がんを予防する事が大切です。
定期的に検診を受ける
子宮頸がんの予防で大切なのは定期的に検診を受ける事です。
初期症状が乏しいので子宮頸がん検診を受け、細胞の検査をしてもらうのが重要です。
細胞の検査は子宮の入り口部分をブラシのようなものでこすって採取するので痛みはほとんどなく、非常に簡単に検査が終了します。
子宮の入り口から採取された細胞は顕微鏡で検査され、細胞の中にどれだけ異常な細胞が入り込んでいるかを調べます。
検査には1週間程度の期間がかかりますが、痛みもなく確実に検査ができるので定期的な受診を心がけましょう。
予防接種を受ける
子宮頸がんの予防接種は様々な副作用で話題になってしまいましたが、がんの予防効果は高いので利用を考えてみてもいいかもしれません。
医師と相談しながら予防接種が必要かどうかしっかりと確認し、子宮頸がんのリスクと予防によるメリットを考えながら利用を考えましょう。