肝細胞がんの予防・症状について

肝臓におこる腫瘍のうち、肝臓を構成する肝細胞におこるがんを肝細胞がんと言います。

肝細胞がん

肝臓にある細胞は解毒・代謝などの様々な機能を担っているので、肝臓に腫瘍が起こると体調が大きく変化してしまいます。

原因・メカニズム

肝細胞がんは、主にアルコールや肝炎ウイルスの感染によって起こる、肝臓の炎症がきっかけとなって発症します。

がんが発症するためには長期間にわたって細胞に悪影響が繰り返される事が必要です。
長期間にわたる悪影響が繰り返されると肝臓の細胞に異常が起こり、細胞分裂が盛んになりすぎてしまいます。

がん細胞

細胞分裂というのは一見必要なものに見えてしまうのですが、実は厄介な問題が隠れています。
ダメージを受けた部分の修復に関与する細胞分裂は、あまりに頻繁に繰り返されてしまうとやがて細胞分裂の回数を抑えるストッパーや細胞分裂を促すアクセルに異常が起こり、細胞が増えすぎてしまうのです。

このようにして増えてしまった細胞は通常の働きを示すことができず、腫瘍となってがん化してしまいます。
中には血流やリンパ液の流れによって全身に転移してしまうことがあるので、肝臓の細胞への悪影響を最小限に抑えることが大切なのです。

肝細胞がんの転移は肺や脳などの非常に重要な臓器ばかりで、ちょっとした転移が原因で治療には非常に重篤な後遺症を残してしまったり、生活の機能に悪影響を与えたりする事があります。
症状がわかりづらい疾患なので、転移を起し多臓器不全などの全身への致命的な悪影響を起こして死に至る事もあるのでしっかりと予防処置やメカニズムについて理解しておく事が大切です。

症状

肝細胞がんの症状はあまり目立ちません。
初めはだるさや発熱などの体の異常が起こり風邪のような症状が出ることがあります。
ですが、やがて症状に慣れてしまうと異常に気がつかないことがあります。

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれているため、症状が重くならない限り自身では気づかない場合が多々あります。
したがって、検査の結果によって肝細胞がんが発見されることが大半です。

検査自体はほとんどの場合血液検査と超音波検査と腹部のCT検査で発見されます。
肝細胞がんと強く疑われる場合には病理組織検査などのより専門的な検査が必要になる事もあるので、病院で相談しながら診断を下してもらう必要があります。

肝細胞がんを発症する人の大半は慢性の肝硬変を患っていたり、慢性肝炎を患っていたりする事が大半です。
このため、腹部を触ってみて肝臓の部分に硬い腫瘤を感じたり、呼吸をするたびに肝臓が手に触れたりするようであれば病院で適切な診断を受ける事が必要になります。

腹部の腫瘤や肝硬変を引き起こす原因として非常に有名なのが肝炎ウイルスです。

特にC型肝炎ウイルスが原因で発症する慢性肝炎がやがて肝硬変に移行した結果肝細胞がんが発症するという経過が最多なので、慢性肝炎で起こる黄疸やアンモニア血症特有の症状に気がついたら常に病院で治療を受けるようにしましょう。

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予防方法

肝細胞がんの予防は、アルコールの摂取制限とC型肝炎ウイルスの感染予防です。
日本での肝細胞がんの原因の大半は、C型肝炎ウイルスの感染なのです。
よって、身近な人に感染者がいる場合には特に適切な対処法を知っておく事が大切です。

アルコールの制限

アルコールの摂取制限は肝臓への負担を軽くするために効果的です。
アルコールを長期間にわたって摂取し続けるとやがて肝臓の機能が低下し、肝硬変などの病気に変化してしまいます。

壊れてしまった肝臓を直すために細胞分裂が活発化している際にさらにアルコールを摂取してしまうと細胞のがん化が促進してしまいます。
必ず適切な治療を受けるように心がけて、アルコールを控えた生活を送るようにしましょう。

C型感染ウイルスの感染予防

感染を防ぐ事が重要なのでC型肝炎ウイルスに対する知識が大切です。

C型肝炎ウイルスの感染力自体はあまり強くありません。
血液を介して感染したり、性交渉を通じて感染したりする事でC型肝炎ウイルスが広がっていくので、まずこの感染経路を把握する事が大切です。

性交渉による感染は、コンドームの適正使用で感染を防ぐ事ができますが、血液感染の経路はあまり知られていません。

血液感染を防ぐには、ピアスの使い回しや刺青を入れる時の針の使い回しなどの無防備な感染経路が原因で感染が成立すると言われています。
海外で刺青を入れた際に感染してしまう事があるので、必ず注意しなくてはなりません。

肝細胞がんは症状がわかりづらく、早期発見・予防が大切な役割を果たしています。
C型肝炎ウイルス以外にもB型肝炎ウイルスが原因となる肝細胞がんもあるので、感染の経路や機会が身近にある方は必ず予防処置や予防法を理解しておくことが大切です。
ウイルス疾患は特効薬が無いので、そもそもウイルスに感染することが無いように注意しましょう。