喫煙関連間質性肺炎の症状・予防について

喫煙は体にとってさまざまなデメリット・悪影響を引き起こすことが知られています。

喫煙による慢性的な喉への刺激や慢性的な肺への刺激が非常に長期に渡ってしまうと、やがて喫煙関連間質性肺炎などの疾患につながってしまう可能性があります。

喫煙関連間質性肺炎

喫煙関連間質性肺炎の原因・メカニズム

喫煙関連間質性肺炎というのは、間質性肺炎の中でも特に喫煙が原因で引き起こされるものを指します。
日常生活においてもさまざまなトラブルを引き起こす原因として知られています。

肺の内部には酸素と二酸化炭素の交換を行う肺胞という部分があり、この肺胞と肺胞の間にあるコラーゲンでできた壁の部分が間質という部分です。

肺と肺胞

間質性肺炎はこの間質に起こった慢性的な肺炎で、放射線・薬剤・自己免疫の異常・ホコリ・感染症などのさまざまな原因で引き起こされます。

間質性肺炎が悪化してしまうと、肺全体にコラーゲンが増えてしまう肺線維症という疾患に進行してしまいます。

肺線維症にまで進行してしまうと薬剤などの投与では改善することができません。

ひどい場合には肺の移植が必要になることもあるので、間質性肺炎にかかってしまわないように注意する必要があるのです。

症状

初期症状

顕著な初期症状は以下のような症状があります。


  • 空咳
  • 軽い運動時の息切れ

これらのうち特に注意が必要なのは空咳です。

空咳とは痰のからまない咳のことで、間質性肺炎の初期に顕著に現れてくる症状です。
空咳が出始め、特に激しい運動をしたわけでもないのに息切れが激しくなってきた場合には、間質性肺炎を疑わなくてはなりません。

晩期症状

初期症状を放置してしまい、特に治療を受けなかった場合には晩期症状が現れてきます。

晩期症状に至るまでは数年ほど時間がかかるので、この間に治療を行えば症状の進行を食い止めることができるので、早急に治療を行うようにしましょう。

晩期症状がひどく進行してしまうと日常生活に必要な動作を行うだけで息切れを引き起こすことがあります。
このような軽い動作にまで影響が出る状態になってしまうと体の内部の酸素濃度が不足した状態が続いてしまい、生活に大きな制限がでてしまいます。

早めに検査や治療を受けることが大切です。

合併症

間質性肺炎の合併症で注意が必要なのは急性増悪と肺腫瘍です。

喫煙や放射線などさまざまな原因で間質性肺炎が発症しますが、どの間質性肺炎も肺が非常にデリケートな状態に変化しています。
このため、ホコリやタバコなどのわずかな刺激により肺炎が急激に悪化する急性増悪という症状を起こすことがあります。

また、肺に長い間炎症が起こっていると肺の細胞が常に刺激を受け続けてしまい、やがて一部の細胞が癌化することがあるので注意が必要です。

肺に癌ができた場合には現在では胸腔鏡などの発達により、非常に短期間で治療ができるようになりました。

ですが、間質性肺炎がひどい場合には治療を行うことが難しい場合もあるので、間質性肺炎と診断を受けた場合には医師と十分に相談し、定期的な経過観察の計画を立てる必要があります。

予後

一度間質性肺炎にかかってしまうと治療をしても元に戻すことはできません。

症状の緩和は期待できるのですが、長期的に見ると予後が悪いことが多いので、症状の悪化を食い止め、日常生活への影響を最小限に食い止めることが大切です。

予防方法

間質性肺炎の予防で大切なのは原因の除去です。

特に喫煙関連間質性肺炎では炎症の原因となるものが特定されているので、予防対象が特定しやすいのが特徴です。

また、体の状態を正確に把握することも同じくらい大切なことです。
上手な病院との付き合い方を身につけると病気の予防ができます。

禁煙

喫煙関連間質性肺炎の予防はなんといっても禁煙が最も重要です。

タバコはフィルターを経由して煙を吸引してはいるのですが、内部に含まれている成分の毒性が強く、非常に呼吸器に深刻なダメージを与えてしまいます。

特に間質性肺炎になってしまった場合には、肺が敏感になっているのでなおのこと注意が必要です。

禁煙を行うためには禁煙指導を専門にしている医師の協力のもと、禁煙治療を受けるのが効果的です。

ニコチンの依存性は非常に強いので、ニコチンパッチやニコチン入りのガムなどを活用し、徐々に体を慣らしていく必要があります。

定期検診

定期的な健康診断を頼りに健康管理を行うのも非常に重要なポイントです。
健康管理上、定期検診を受けることで呼吸機能の悪化や肺の状態の悪化を知ることができるので、症状があまりに悪化して異常が出る前に体の状態に気づくことが大切です。

さいごに

喫煙関連間質性肺炎は原因であるタバコを止めることができれば大幅に症状の改善ができるという利点があります。
症状が悪化し、肺全体がかたくなってしまうと老後の生活状況の悪化や運動機能の大幅な低下を引き起こしてしまいます。

定期検診や禁煙指導などを通じてあらかじめ体の状態を把握し、喫煙関連間質性肺炎を防ぐことができるように心がけましょう。