体の中を流れる血液には様々な免疫細胞が浮遊しています。
この中でも好酸球という細胞は非常に特殊な細胞で、アレルギーや寄生虫に対する免疫など、様々な原因で増加することが知られています。
この好酸球が肺の内部で増加してしまい肺全体に炎症が起こったのが好酸球性肺炎です。
ちなみに、免疫細胞とは、下図のように白血球のことを指します。
原因・メカニズム
好酸球性肺炎の分類
好酸球性肺炎のうち、原因が特定できないものを特発性好酸球性肺炎と言い、この中でも特に病気の分類上急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎に分類されています。
急性好酸球性肺炎は特に症状が急速に発生し、肺全体が炎症を起こす肺全体に影響を与えるタイプの肺炎で、呼吸機能の低下が急速に進行します。
原因
急性好酸球性肺炎の原因は、あまり明確にわかっていません。
薬物やカビなどが原因となってアレルギーのような症状が原因となるという研究報告もあります。
しかし、今の所単一の根拠によるものとは考えられていません。
複数の因子が絡み合った疾患と捉えられていて、症状が出てきた場合には速やかに対処することが求められる疾患なのです。
近年では研究により、様々な病気を引き起こす因子が明らかになりつつあります。
現時点では、タバコが原因となって症状が悪化することがわかっているので、喫煙をしている方は禁煙指導が必要になることもあります。
病気の成り立ち
好酸球によって引き起こされる肺の炎症です。
肺の内部にはブドウの粒のように肺胞が広がっていて、この肺胞の内部で酸素と二酸化炭素の交換が行われています。
この部分になんらかの原因により炎症が引き起こされ、好酸球が血液中から肺の中に溜まってしまった病態が好酸球性肺炎です。
このような好酸球性肺炎のなかでも急性好酸球性肺炎は非常に症状の進行が早く、悪化する速度が非常に早いという特徴があります。
症状
急性好酸球性肺炎の症状は、呼吸器関連の症状と全身の症状と分けて考えることができます。
呼吸器関連の症状
急性好酸球性肺炎の特徴は呼吸困難と空咳です。
とくにこれらの症状が、1週間の間に立て続けに起こる特徴的な症状が、急性好酸球性肺炎です。
全身の症状
急性好酸球性肺炎の全身症状はほとんどが炎症と低酸素によって引き起こされる症状です。
肺の炎症が悪化すると発熱が続くため、倦怠感、疲れを感じやすくなってしまい、生活に大きな支障をきたします。
また、体内の臓器が炎症を起こしていると全身にも様々な影響を与えてしまい、とくに呼吸器の場合には体の酸素不足が引き起こされることが重篤な問題です。
低酸素症状が長引くと呼吸回数を増やすことで起こる体の疲れ、酸素不足による頭痛や吐き気など様々な全身の症状をひきおこします。
さらに、わずかな運動でも息切れをしてしまうため、行動に大幅な制限が加わってしまうのです。
予防方法
急性好酸球肺炎は原因が不明なことが多く、明確な予防手段を講じることが難しいのが特徴です。
このため、予防策を立てるというよりも発症にいち早く気づき、症状を見逃さないための工夫が重要です。
また、症状を悪化させる因子を避けるための対策も等しく重要な着眼点です。
症状に気づくための予防策
急性好酸球性肺炎は初期症状として空咳と呼吸困難が現れます。
空咳は痰が絡まない咳で、間質性肺炎などの特殊な肺炎に特徴的な疾患です。
空咳が出続けているにも関わらずとくに状況が改善せず、発熱を感じた場合には好酸球性肺炎を疑ってみる必要があるのかもしれません。
このほかにも、自分の呼吸の状態を把握することも大切な自己管理の一つです。
人間ドックや健康診断のような検査を定期的に受診しておけば体の異常にいち早く気づくことができるので、日頃から自分の体に気を配るのが大切です。
会社の健康診断だけでなく、自治体の健康診断なども有効に活用しましょう。
- 症状を悪化させないための生活習慣
- ホコリ
- アレルギー
- タバコ
症状を悪化させないためには幾つかの注意点が必要です。
ホコリが室内に溜まっていると呼吸器に悪影響を与えてしまうことがあります。
掃除を行うだけでなく、空気清浄機なども活用しながらホコリを吸い込まないように気をつけると効果的です。
アレルギーによる気管支や肺への影響も非常に重要な影響を与えます。アレルギー反応は急性の炎症反応なので、急性好酸球性肺炎などの特殊な肺炎を経験されている方はとくに注意が必要です。
一度炎症を経験した肺はある程度の期間が立たなければ完全に回復することができず、非常に敏感な状態が続いてしまいます。
アレルギーの原因物質を吸い込んだために症状を引き出してしまうことがないように注意をしてください。
タバコによる影響は急性好酸球性肺炎の患者さんにとって無視できない影響があります。
タバコが肺を刺戟する度合いは非常に強く、肺の炎症を引き出す引き金として作用することがわかっています。
独力で禁煙を行うのが難しい場合には医師のサポートのもとで禁煙を続けることができます。
一人で頑張ろうとせず、必ず禁煙の専門的な学識を持った医師のサポートを受けるように心がけてください。
さいごに
現在タバコが原因で急性好酸球性肺炎になる可能性が示唆されています。
少しでもリスクを減らすためににも禁煙をする努力をしましょう!