慢性腎臓病(CKD)の予防・症状について

慢性腎臓病は、慢性的に起こる腎機能の低下を表す病態になります。
ちなみに、英語ではchronic kidney diseaseとなり、この頭文字をとって、CKDとよぶこともあります。

慢性腎臓病は、重症度により分類されており、最も重症度が高くなると腎臓の機能が失われる腎不全になります。

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慢性腎不全は腎臓の病気の中でも特に注意が必要なもので、慢性腎臓病を放置してしまうと様々な全身のトラブルにつながってしまいます。

原因・メカニズム

慢性腎不全の原因は腎臓を破壊してしまう病気です。
この病気には様々な種類があるのですが、共通しているのが腎臓にある尿を作るネフロンという構造の破壊が起こることです。

ネフロンには、尿を作り出す糸球体という構造があり、この部分で作られた尿がやがて濃縮され、膀胱に貯蓄されます。

この糸球体の破壊がおこってしまうと腎臓の機能が慢性的に低下し、慢性腎臓病という診断が下るのです。

このような病態を引き起こす原因としては、以下のような疾患があげられます。


  • 多嚢胞性腎症
  • 多嚢胞性腎症は遺伝的に発症する腎臓の病気です。
    腎臓内に大小様々な嚢胞ができてしまい、やがて末期の腎不全に至ってしまいます。

  • 慢性糸球体腎炎
  • 慢性糸球体腎炎は糸球体に起こる炎症です。
    糸球体の炎症の原因は主に免疫の異常によるものが大半で、糸球体を作る膜に免疫系が攻撃を仕掛けてしまうことで発症します。

  • 糖尿病
  • 糖尿病による腎臓の機能の低下も非常に注意が必要です。
    糖尿病になってしまうと全身の血管にダメージが蓄積してしまい、やがて腎臓の機能が著しく低下します。

  • 水腎症
  • 水腎症は、腎臓の結石が原因となって発症する疾患です。
    腎臓の結石があると尿が正常に排泄されず、腎臓内に尿が貯留してしまいます。
    このような病態が続いてしまうと、最終的には腎臓が水浸しになった水腎症という病気になってしまいます。

  • 腎臓がん
  • 腎臓に腫瘍ができると腎臓が圧迫されてしまい、やがて腎機能が著しく低下します。


症状

慢性腎不全の症状は尿が作られなくなることです。
尿が作られないことで全身に水分がたまり、むくみが起こります。

また、体内で作られた老廃物を除去することができないので体内に尿素やアンモニアが貯留する尿毒症という病態に進行してしまい、非常に重篤な場合には死に至ることがあります。

腎臓はこれ以外にも体内の血液を作り出すホルモンを分泌しているので、腎臓の機能が低下してしまうことは貧血にもつながります。
また、血圧調節にも重要な役割を果たしているので、腎臓の機能の低下は様々な全身症状を引き起こすのです。

予防方法

慢性腎臓病の予防方法は、定期的な医療機関の受診と以下のような生活習慣の改善です。


  • 肥満の解消
  • 腎不全の予防で大切なのはまず肥満の解消です。
    肥満による代謝の異常が重なってしまい実は腎臓にとって非常に大きな悪影響を与えることがあります。
    とくに内臓脂肪による悪影響は非常に重篤なものが多いので、肥満には注意しなくてはなりません。

  • 塩分の摂取量と適度な運動
  • 塩分の排泄は主に腎臓で行われるので、腎臓に負担をかけない食生活に気を配りましょう。

  • 喫煙
  • タバコによる弊害は血管へのダメージなど糸球体の血流に悪影響を及ぼすことがわかっています。
    腎臓への悪影響を防ぐためにもタバコをやめるのが重要です。