狭心症の症状・予防について

狭心症は、冠動脈の血管が狭くなり、一時的に心臓の筋肉(心筋)に流れる血液が不足して酸欠状態になり、急に胸が締めつけるように苦しくなる病気です。

狭心症

心臓は常に働き続けているため、たくさんの血液を必要とします。

この血液は冠動脈から供給されていますが、何らかの原因によって血液の流れが悪くなると、心筋に血液が足りない状態(心筋虚血)が起こります。

さらに、完全に血液が流れなくなると心筋梗塞となります。

狭心症の原因・メカニズム

冠動脈の血管が狭くなる原因の大部分は、動脈硬化です。
血管の壁に起こった動脈硬化は、いろいろな現象を引き起こして血管内腔が狭くなるわけですが、この成り立ちによって狭心症は主に次の2つのタイプに分けられます。

血栓

1.労作狭心症

一つ目は労作狭心症で、もっとも多いのがこのタイプです。

階段を上がる、走る、力仕事をするなど、ある一定以上の労作(労働)時に起こります。

何らかの労作を行うとからだがエネルギーを必要とするので、心臓は体にたくさん血液を送り込まなくてはなりません。

それに応じて心臓は脈を速くして力強く血液を拍出するわけですが、これによって心筋自体もより多くの酸素とエネルギーを必要とします。

冠動脈が正常であれば、必要に応じてたくさん血液を流すように対応できるようになっています。

ですが、動脈硬化により冠動脈内におできのようなプラークができていると、血管が狭くなるため、その狭窄部(狭くなった部分)を通る血液量が制限を受けます。

そうすると、狭窄部より先の心筋には血液が必要なだけ流れないことになるので、この部分で心筋に血液が足りない状態である心筋虚血が起こります。

これにより症状として胸痛が発作の形で起こるわけですが、からだは「心筋虚血が起こっているぞ」という警告を発して労作をやめさせようとするわけです。

実際に労作をやめて静かにすれば、脈拍・血圧とも下がり、心筋が消費する酸素量も減少するので、この狭窄部を通った血流でも足りることによって心筋虚血が解消され、胸痛も消失します。

通常、胸痛発作は2~3分、長くても5分くらいで治まるのが普通です。

2.安静狭心症

労作狭心症に対して、安静狭心症は就寝中や安静にしているときに、発症します。

冠動脈の一部が痙攣けいれんを起こし、血管が急激に細くなって血液不足になり、発作が起こります。

発作は夜中から朝方の就寝中に起こるのが典型的ですが、寒い冬の朝に暖かいベッドから寒いところに出たときや、急に冷たい風に当たったときなどにも起こることがあります。

これは、何らかの自律神経の混乱が急に起こることで、血管の痙攣が誘発されるためと考えられています。

発作時間はやや長く、10分くらい続くこともあります。

このほかに、発作の起こる頻度や症状の強さ、持続時間などから、「安定狭心症」と「不安定狭心症」に分けることがありますが、これは危険な狭心症を別扱いにするための分類です。

こんな症状が狭心症かも

こんな症状があったら狭心症かもしれません。


  • 何か決まったきっかけで、急に発作が始まる
  • 痛みが胸の真ん中から少し左あたりで、手のひらくらいの広さ
  • 締め付けられる感じ、圧迫される感じを伴う痛み
  • 胸から始まって左肩・左腕へ、あるいは喉から顎、歯に広がったりする
  • 症状の持続は15分以内、大部分は10分以内に落ち着く
  • 胸の痛みが続くうちに息苦しくなったり、脂汗が出たりすることがある

労作狭心症の場合には、いつも決まった動作をすると発作が起こることが特徴です。

「朝、家を出て駅まで7~8分歩くが、5分くらいのところにある坂道を上っていると胸の圧迫があって立ち止まる」といった具合です。

痛みの性質は、手のひらを胸に当ててグーッと押さえつけるような感じが特徴です。

痛みの部位もポイントで、狭心症の痛みは胸の真ん中から少し左くらいのあたりになり、持続時間も通常は数分、ちょっと重い発作でも10~15分という感じです。

もしこのような症状があったら、症状がなくなったからといってそのままにせず、かかりつけ医などに直ぐに相談するようにしましょう。

狭心症を予防する

狭心症は、動脈硬化が発端となって起こる疾患です。
この動脈硬化が起きないためにも次のことに気をつけることが大切です。


  • 食事
  • バランスの良い食事を心がけことが大切です。
    特に塩分の多い料理は、動脈硬化の原因の1つである高血圧になりやすくなるため、塩分は過剰に摂らないことが重要です。

  • 運動
  • 適度な運動が狭心症の予防につながります。
    あまり激しい運動は必要なく、軽いジョギングやウォーキングで十分です。
    なお、起床後1~2時間は、冠動脈が収縮していることが多く、心臓発作の好発(発症する度合いが高い)時間帯なので、この時間帯の運動はさけましょう。

  • 禁煙
  • 喫煙は、高血圧や動脈硬化の原因となります。
    少しでも、早く禁煙することが重要です。