デング熱が毎年流行する可能性!知っておきたいデング熱の症状・予防法

デング熱

蚊といえば突如話題となった、デング熱の流行が記憶に新しいと思います。2014年に8月~10月にかけて計160人の発症者が出ましたが、今年も発生する可能性があるようです。ここでは、デング熱の基礎知識から予防方法まで紹介しています。

デング熱とは

デング熱は、デングウイルス(Denguevirus)が、感染することによって発症する疾患です。主に熱帯・亜熱帯地方(アフリカやインドネシア、フィリピン、タイなどの東南アジア、中南米など)にみられるます。

デングウイルス

また、ウイルスは4種類の型が確認されており、感染して治ると基本的に終生免疫となります。しかしながら、前回感染した別の型のウイルスに感染すると発症してしまいます。別の型のウイルスへの感染は、後述するデング出血熱と関連しています。

因みに、デング熱は、医師がただちに届出をする必要性がある疾患の4類感染症に分類されています。この分類は、感染症法で分類されているもので、症状の重さや病原帯の感染力等で一類から五類の5種類があります。一類が最も感染力や症状が重いものになり、昨年デング熱と同様に話題となった、エボラ出血熱が分類されています。

原因、感染源

デングウイルスは、デングウイルスを持つ蚊(ネッタイシマカなど)に刺されることで感染します。

ネッタイシマカ

蚊は吸血する際、針を刺したことが痛みで気が付かれないように、また血を吸いやすくする為に、麻酔や血液凝固を抑える効果のある唾液を注入します。この唾液と一緒に体内へウイルスが侵入し、感染に至ります。

しかしながら、そもそも日本にはデングウイルスを持つ蚊は存在しません。では、なぜ国内感染が拡大したのでしょうか?

ヒトスジシマカ

日本には主にアカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカが生息しています。その中でもヒトスジシマカ(いわゆるヤブ蚊)が、デングウイルスに関わっています。

ヒトスジシマカ自身はデングウイルスを持っていませんが、媒介する能力を持っています。従って、ヒトスジシマカが、デングウイルス感染者(旅行者など)の血液を吸ったことで、デングウイルスを媒介する原因となってしまったと言われています。

潜伏期間・症状

デング熱の潜伏期間・症状

デングウイルスの潜伏期間は、2~15日で大半は3~7日が多いようです。デングウイルスに感染した場合、以下4パターンの何れかの症状が出ます。

不顕性感染
不顕性感染(ふけんせいかんせん)は、デングウイルスに感染しても症状が出ない状態です。大半がこの不顕性感染と言われています。
発熱
熱のみで他の症状が出ない場合があります。
デング熱
主な症状は、高熱や頭痛、眼窩痛(目の奥の痛み)、筋肉痛、関節痛の痛みなど、一見するとインフルエンザと間違えるような症状が出ます。

特に関節痛が激しいことからBreakbonefeverとも言われています。また、発症後3~4日後に麻疹(はしか)のような発疹(ほっしん)も出現します。

デング出血熱
デング出血熱は、初期にデング熱と同様の症状が出た後、出血傾向や血漿漏出(血管から血漿が漏れ出る状態)、胸水や腹水の出現が挙げられます。

また、デングショック症候群と呼ばれるショックを伴ったデング出血熱では、適切な治療をしないと重症化し致死率が高いとされています。デング出血熱の症状が出現するのは、1度デングウイルスに感染して、再度別の型のデングウイルスに感染した場合にみられることが多いようです。

治療方法

治療薬等は今のところ無く、投薬による関節の痛みの軽減や輸液による対症療法のみとなっています。治療薬が開発されなかった理由として、海外ではしばしばある疾患であり、感染しても殆どが治ってしまうため、あまり研究されなかったという背景もあるようです。

治療方法

現在、治療法の研究が進められていますが、日本では医学生物学研究所が治療法を研究しているようです。

予防方法

デングウイルスに感染しない為には、蚊に刺されないことが一番の予防になります。
以下の蚊に刺されない為の方法を参考にして下さい。

デング熱の予防

蚊を発生させない

蚊に刺されないことも重要ですが、蚊の発生を可能な限り抑えることも重要です。蚊の幼虫ボウフラは、少しでも水があれば発生するため、家の周囲に溝や空き缶、古タイヤなど水が貯まる場所が無いかを確認し、可能な限り除去します。

蚊を部屋に入れない

蚊は、窓からの侵入が多いため窓をしっかりしめます。また、網戸には蚊が嫌うレモングラスなどのアロマスプレーや専用の虫除けスプレーをかけると効果的です。

蚊帳の利用

網戸が傷んでいたり、ちょっとした隙間があるような建物に宿泊する場合、蚊帳(かや)が効果的ですので準備しておきましょう。蚊帳が虫除け剤で処理されているものもあるようです。

肌の露出を極力少なく

デングウイルスを媒介するヒトスジシマカは、日中活発に活動しますので、外出時には肌の露出を極力少なくしましょう。特に水辺や草むらには蚊が多くいますので、長袖や長ズボン、帽子などを着用しましょう。

虫除け剤の使用

虫除け剤を使用しましょう。虫除け剤に含まれる、ディートと呼ばれる成分は忌避剤(きひざい)のため、蚊が死ぬことはありませんので、塗っていない場所があると刺されてしまうため、まんべんなく塗ることが大切です。

まとめ

交通機関が発達した現代では、海外との行き来が頻繁に行われています。今年もデング熱の流行する可能性が考えられるので出来る準備はしておきたいですね。