食道がんの症状・予防について

食道は喉と胃を結ぶ長さ25cmほどの管で、この部分に発生する悪性腫瘍を食道がんと言います。

食道

食道がんの大半は扁平上皮がんという種類のがんで、とくに胸の内部を走行する部分に頻繁に発症します。

食道がんの原因・メカニズム

食道がんの原因は繰り返される食道への刺激です。
飲酒や食事の内容だけでなく、喫煙もがんを作り出すきっかけになるため注意が必要です。

食道に繰り返し悪影響を与える因子が作用するとやがて食道の粘膜表面の細胞に異常が起こります。

細胞の分裂を抑えるための遺伝子に異常が発症し、細胞分裂が異常に繰り返されてしまい、やがて周囲の組織に広がり始め食道がんとなってしまいます。

このようながん化に至るプロセスに歯止めをかけたり、症状が発見された瞬間に適切な治療を行うことが非常に重要で、わずかな症状を発見し治療にこぎつけることが大切なのです。

症状

初期の症状はほとんどありません。
大半の方が無症状のまま気づかずに食道がんを放置してしまいます。

このまま徐々に症状が進行するとやがて食事の時に胸や食道がしみるような感覚を感じ、飲み込みにくさや体重の減少などを感じ始めます。

この段階で病院を受診せずにさらに症状が進行すると咳や胸部の不快感、声が掠れるなどの様々な症状が現れてきます。

注意したい合併症

食道がんに限らずなんらかのがんが発症する時には、必ず原発巣なのか転移巣なのかを把握する必要があります。

原発巣の食道がんの場合には、周囲の組織だけでなく肺や肝臓への転移を考える必要があるので病院で発見された場合には全身の検査を受ける必要があります。

原発性の食道がんの治療は内視鏡による治療が可能なので、初期段階で治療を行うことが重要です。

転移によって食道に腫瘍ができた場合には、どのような組織に由来した主要なのかを特定する必要があります。

食道がんは頭や首にできたがんだけでなく大腸、肺などの内臓から転移を受けることがあるので喉の腫瘍などの有無をしっかりと確認する必要があります。

転移性の食道がんの場合にはまず原発巣である臓器の治療や、抗がん剤などの選択など様々な要素を考える必要があるので、食道がんと一口に言っても治療方針が大きく変わってくるのが特徴です。

予防方法

食道がんの予防は何と言っても早期発見と生活習慣の改善です。

早期発見のために

食道がんの早期発見で大切なのは症状の理解です。

食道がんは症状を検知することが難しいので、食道部の違和感や飲み込みにくさなどの異常をできるだけ早く気付く必要があります。
また、遺伝性の影響も指摘されることがあるので、家族に食道がんや他の消化器系のがんを経験された方がいる場合にも注意が必要です。

異常を感知した時や自分自身に食道がんを疑う要素がある場合にはまずは病院へ相談することが重要です。

食道アカラシアなどの食道がんの原因になりうる疾患をお持ちの方は、とくに注意が必要なので、定期的に検診を受けるように心がけるといいかもしれません。

この他にも健康診断の活用や内視鏡検査の活用が予防に役立ちます。
食道の異常は内視鏡検査で簡単に見つけることができます。

内視鏡検査

短時間で食道を直接観察することができるので、内視鏡検査を定期的に受けておくと体の異常を素早く発見することができます。

最近では飲み込むタイプの内視鏡検査を受けることもできるので、好発年齢である60歳以上の方は一度検査を考えてみましょう。

生活習慣の改善

食道がんの原因の大半は生活習慣に起因するものばかりです。
とくに辛いものやアルコールの過剰摂取は、食道にとってマイナスの影響を与えることがあるので毎日の飲酒には注意が必要です。

この他にも、熱い食べ物のとりすぎや野菜・果物の摂取不足によっても食道がんの発症率が上昇すると言われています。

食事の内容を見直し、毎日の習慣を適正に保つことが大切です。

喫煙習慣も食習慣と同様に見過ごすことができない要素です。

喫煙によってもたらされる影響は食道だけでなく呼吸器にまでおよび、肺がんのリスクを増加させたり喉のがんを発生させる原因になったりと、非常に多彩な悪影響を与えることがわかってきています。

喫煙習慣からの脱出が難しい場合には、医師の治療を上けることも考えなくてはなりません。

近年の禁煙治療は保険適応されていて、禁煙に必要な医療の一部を保険で負担することができるようになりました。

ニコチンパッチやニコチンガムなどを使って、体内のニコチン分量を補いながら徐々に喫煙の習慣を脱出できればそれだけで大きな予防効果を得ることができます。

さいごに

医療において予防というのは非常に重要な意味があります。
あらかじめ予防措置を講じておくことで、早期発見・早期治療ができると手術などの大掛かりな治療を避け、内視鏡による治療だけで食道がんの治療が完了することがあります。

治療が小さければ小さいほどその後の生活へ与える影響も小さく済ませることができます。
わずかな症状に気づき、日常生活から見直すように心がけることが大切です。