大腸がんの症状・予防について

大腸は小腸と直腸の間にある器官で、主に水分の吸収と便の形成に関与しています。

大腸

この大腸の粘膜に生じた悪性腫瘍が大腸がんです。

原因・メカニズム

大腸がんの主な原因は大腸の粘膜への刺激です。
大腸の粘膜にダメージが加わると大腸は修復しようと試みます。

この時に繰り返し大腸に刺激が加わったり、大腸の細胞が老化により様々な障害を負ってしまうと細胞ががん化してしまうのです。

このほかにも加齢による細胞のダメージもがん化の原因になると考えられています。

細胞には細胞分裂をコントロールする機能があり、この機能が破綻してしまうとガン細胞が無尽蔵に増殖を繰り返してしまいます。
したがって、細胞が無尽蔵に増殖することで大腸の機能が低下したり、他の臓器に転移を繰り返してしまうので非常に危険な状態と言えます。

大腸がんの分類

大腸がんは様々な分け方で分類されています。
特にTMN分類と肉眼型分類と壁進達度による分類は非常に重要で、治療方針に大きな影響を与えます。

TMN分類

TMN分類は大腸がんに限らず様々ながんの分類に応用されています。
壁進達度・リンパ節への転移の有無、遠隔転移の有無によって分類され、大腸がんのステージを決定する上で非常に重要な役割を果たしています。

肉眼型分類

肉眼型分類は内視鏡検査などで分かった病変の形による分類です。
肉眼型分類0型?5型まで分類され、0型は早期ガン、1?5型は進行癌に分類されます。

0型の早期ガンはさらに細かく分類され、治療の判断は分類によって決まってきます。
1?5型の大腸がんは壁進達度や他臓器やリンパ節への転移の有無によって治療が決まるので、この病気の分類は非常に重要なものになります。

壁進達度による分類

壁進達度の分類は大腸の壁のどの部分にまで大腸がんが広がっているかによる分類です。
粘膜の下には粘膜下層という層や筋層があるのですが、どの段階にまで大腸がんが進展したかによって大きく病気の分類が変わっていきます。

粘膜下層を超えずにとどまっている場合には早期の大腸がんと診断されるので、治療は非常に軽度で済むのですが、粘膜下層を超えて筋層にまで到達すると手術が必要になります。

症状

大腸がんの症状は、初期症状と晩期症状で大きく異なっています。

初期症状

初期の大腸がんの症状はほとんどありません。
便潜血検査などで、便の内部の血液を指摘されたり、たまにお腹が痛くなる程度の症状しか現れず、大半の場合は無症状です。
このため、多くの人は大腸がんが発症していることに気づきません。

晩期症状

大腸がんの晩期症状は便秘・下痢・血便・便が細くなるなどの症状です。
この症状の大半は大腸の機能の低下と、大腸内が腫瘍によって細くなることで発症し、この段階まで進行してしまうと非常に予後が悪くなってしまいます。

大腸がんの好発部位

大腸は盲腸から始まり、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸と続くのですが、最もがんの発症が多いのがS状結腸です。

結腸

この部分では便が硬くなってきているので常に物理的な刺激が加わり、大腸がダメージを受けやすくなります。
このような継続した物理的な刺激がガン化の原因と考えられています。

大腸がんの合併症

大腸がんの合併症で注意したいのがイレウスや腸重積です。
イレウスというのはいわゆる腸閉塞のことで、大腸がんがある部分で腸が狭くなるため発症します。

腸重積は腸の一部が肛門側の腸にめり込んでしまう病気で、腸の壊死を引き起こすため注意が必要です。

大腸がんの予後

大腸がんの予後はガンの進展度合いにより大きく変化します。
進行癌でステージが進んでいる場合には予後が悪くなることがあるので、より早期の段階でガンを発見することが大切です。

大腸がんの検査

大腸がんの検査は主に注腸造影検査と大腸内視鏡検査で行われます。

下部内視鏡

注腸造影検査では大腸の内部に造影剤を注入し、その後レントゲン写真を撮影することで大腸の内部の構造を調べることができます。

大腸の内側に異常なふくらみがあったり、異常なコブが目立つ場合には特に注意が必要で、腸の内側が細くなっている場合にはかなり進行している可能性があります。

大腸内視鏡検査では大腸を直接観察する検査で、細い内視鏡を使って腸の粘膜を直接調べることができます。

予防方法

大腸がんの予防に重要なのは生活習慣と食事です。

喫煙習慣の改善

喫煙は大腸がんだけでなく肺がんなどの様々ながんに悪影響を与えてしまいます。
最近では禁煙治療が保険適応されているので、大腸がんを代表とする様々ながんの予防に禁煙を行うことが重要です。

食習慣の改善

野菜不足、肉が多い、という食生活を続けていると大腸がんのリスクが高まります。
特にベーコンやハムなどの加工食品の過剰摂取には注意が必要です。

運動習慣の改善

運動習慣も大腸がんの改善も大腸がんの危険因子を下げる働きがあります。
運動が不足していると大腸に限らず、胃がんや直腸がんなどの様々ながんの予防に効果があるといわれています。

毎日のウォーキング程度でも構わないので、積極的な運動を行うことが重要です。