タバコを1本吸うと◯分寿命が縮むという話を聞いたことがあると思います。
実際には、タバコを何本吸ったら寿命が縮むというわけではなく、タバコを吸い続けることで寿命が縮むというデータから、一本あたりの寿命の縮む割合を出しているだけです。
では、実際のデータではタバコを吸うとどれくらい寿命が縮むのでしょうか。
タバコを吸うと10年寿命が縮む
タバコを吸うと寿命が10年縮むと言われています。
この10年というのは次の研究結果によります。
研究の概要は、1900年~1930年に生まれたイギリスの男性医師(喫煙歴有り無しの)を35歳から50年間に渡って追跡したというものです。
それらのデータをまとめたのが次のグラフになります。
縦軸は35歳を100%とした生存率、横軸は年齢になります。
70歳での生存率は非喫煙者が81%なのに対して、喫煙者は58%と生存率は低くなっています。
また、喫煙者と非喫煙者の年齢の乖離(非喫煙者が同程度の生存率になる年齢)が10年となっています。
これらのデータからタバコを吸うと10年縮むと言われるようになりました。
参考 Mortality in relation to smoking: 50 years’ observations on male British doctors
上記は、イギリス人でのデータでしたが日本でも同様の追跡調査が行われてします。
日本では、2012年に論文が発表されています。
この論文では、1920~1945年の間で生まれた男性と女性を追跡しています。
その結果、男性で8年、女性で10年寿命が短くなるというデータ(下図)が出ています。
イギリスでの調査と似たような結果となっています(日本の調査では35歳のときの生存率を1として算出しています)。
参考 Impact of smoking on mortality and life expectancy in Japanese smokers
平均自立期間が縮む
タバコを吸うと寿命が縮むだけでなく、健康寿命(健康でいられる期間)に関わる、平均自立期間と呼ばれるものも同時に短くなります。
平均自立期間とは、介護の必要なく自立して日常生活を送れる期間のことです。
喫煙者の場合には、非喫煙者と比較して4.2年短くなるというデータが厚労省から出ています。
参考 健康寿命の指標
寿命が縮む原因
【喫煙は万病のもと】タバコを吸うことでなりやすい病気まとめでも紹介していますが、タバコを吸うことで、多くの有害物質を吸収してしまいます。
その結果、様々な病気にかかってしまうことが寿命を縮める原因です。
タバコが原因で発症する病気は、全身でならない箇所が無いといってもいいくらいです。
また、がんや心臓疾患になれば寿命は短くなります。
脳梗塞を発症すれば命をとりとめたとしても、半身麻痺で介護が必要となり、結果的に自立期間を縮めてしまう原因となります。
さいごに
タバコと寿命の研究は人の一生を追跡するため、時間がかかってしまうため、まだまだ多くのデータが無い状態です。
ですので、タバコで寿命は縮まないといったり、辞める必要もないといったりする学者もいます。
しかしながら、寿命との因果関係を別としてもタバコは多くの病気をもたらす存在であることは明白です。
少しでも健康に老後を迎えたいと考えている方は、一日でも早く禁煙をおすすめします。