あなたは、いままで禁煙しようと思ったことが何回ありますか?
おそらく次のような理由で禁煙されることも多いかと思います。
- 子供が産まれる為
- 将来の健康の為
- 病気の治療の為
- 節約の為
ですが、強い意思、目標を持っていても、途中で挫折してしまうことが多かったはずです。
これはあなたの意思が弱いわけではなく、タバコに含まれているニコチンの影響によるものです。
あなたが想像しているよりもニコチンには強い依存性があるためなんです。
考えている以上にニコチンの依存性は高い
実は、ニコチンの依存性というのは、その他の依存症を発症する可能性のある物質と比べて、比較的高い部類にはいります。
ニコチンがどれだけ依存性が高いかというと、以下の通りです。
- ニコチン
- ヘロイン
- コカイン
- アルコール
- カフェイン
上から順番に依存性が高いものになります。
度々テレビなどで騒がれている麻薬よりも、ニコチンの依存性が高いことになります。
よって、最後の一本を吸って辞めた!と意気込んでも、また吸ってしまう結果になってしまいます。
また、下のグラフはヘロイン、喫煙、アルコールの使用中止継続率のグラフになります。
1年後の継続率がタバコとヘロインが、ほぼ同率の20%となっています。
参考: https://profiles.nlm.nih.gov/ps/access/NNBBZW.pdf
つまりタバコを吸うと高い確率で依存症が発生し、禁煙しても失敗する可能性が80%と、タバコは辞めるに辞められないものであることがわかります。
現在あなたがニコチン依存症かどうか簡単なチェックを出来るサイトがありますので、一度確認してみてください。
ニコチン依存症を判定するテスト TDS(Tobacco Dependence Screener)
ちなみに、一般的なタバコに入っているニコチンは、タバコを製造する過程で入れているわけではありません。
ニコチンは、タバコ(植物)の根で作られ、その後葉へ移行します。
したがって、その葉を収穫・加工して製品にするためにタバコにはニコチンが含まれることになります。
ニコチン依存症になるまで
ニコチン依存症は次のような流れで発症します。
- タバコを吸うとニコチンは、肺へ到達し、肺を介して血流にのり脳へ到達します。
- ニコチンは、脳に到達すると脳の神経に存在するα4β2ニコチン受容体という受容体に結合します。
- ニコチンが、α4β2ニコチン受容体に結合すると、ドパミンと呼ばれる幸福感や快感を感じる物質が放出され、快感を得ることができます。
- 1~3を繰り返していると次第に脳の構造が作り変えられてしまい、タバコをやめられない体となります。
α4β2ニコチン受容体は、本来アセチルコリンという物質が結合する場所になります。
しかし、ニコチンはこの物質と構造が似ている為に結合してしまいます。
ニコチンの離脱症状
禁煙を始めてニコチンの供給がなくなると、しばらくして離脱症状(いわゆる禁断症状)と呼ばれるものが出てきます。
タバコを吸い終わってから、もしくは禁煙をしてから次のような症状が出たことはないでしょうか。
これらは全てニコチンの影響による離脱症状で、禁煙を妨げる要因となっています。
離脱症状の例
- めまい
- タバコが欲しくなる
- 眠気、不眠
- 便秘、腹痛
- イライラ、欲求不満、怒り
- 性格の変化
- 集中力の低下
- 疲れやすくなる
- 食欲の増加
ニコチン依存症を増強する物質
タバコには600もの添加物が添加されています。
そのうちニコチンの依存症を増強、促進する物質が含まれていることが、タバコをやめられなくしている一因です。
ニコチン依存症を増強する物質の例
- アンモニウム化合物
- アルカリ性に傾けることにより、ニコチンが吸収されやすいガス状になります
- 砂糖(アセトアルデヒド)
- 砂糖が燃焼すると、アセトアルデヒドが発生します。
このアセトアルデヒドには、ニコチンの急性中毒を和らげる効果があり、短時間で多くのニコチンを摂取することが可能になります。 - ココア末
- ココア末が燃焼するとテオブロミンという物質が煙と一緒に体内に入ります。
一般的に煙の刺激で気管支が収縮してしまうが、これを抑制する働きがあります。 - グリチルリチン
- グリチルリチンは、甘草に含まれる成分で、タバコの煙と一緒に体内へ運ばれます。
この物質には、気道内の粘液を分泌する効果があり、煙の刺激を和らげる効果があります。
さいごに
タバコに含まれるニコチンやその他の物質によって、いかにタバコを辞めにくいかがわかりました。
いままで禁煙中の離脱症状が我慢できずに何度も失敗している人は、我慢するのではなく、市販の禁煙補助薬の利用や禁煙外来へ行ってみることをおすすめします。