タバコが体に悪影響を及ぼすのは、喫煙者に限ったことではありません。
タバコからでる副流煙によって、非喫煙者までも健康被害を受けてしまう場合があります。
しかも、健康被害には重大な病気も含まれています。
受動喫煙と能動喫煙について
喫煙者がタバコのフィルターを通して煙(主流煙)を吸うことを能動喫煙といいます。
これに対して、受動喫煙は、主にタバコから直接出る煙(副流煙)を吸引することをさします。
また、タバコから出る煙だけが受動喫煙ではなく、タバコを吸った後に壁、服などに煙が付着して、その煙を吸い込むことも受動喫煙となります。
これは、残留受動喫煙とも呼ばれます。
受動喫煙による影響
受動喫煙は、ただ煙いというだけでなく、様々な病気や障害を引き起こす可能性があります。
受動喫煙による病気・疾患・障害には、以下のようなものがあります。
しかも、研究により、病気や障害のなりやすさ(倍率)まで分かってきています。
♦大人の受動喫煙関連疾患例
病気・疾患名 | 倍率 |
---|---|
肺がん | 1.2~1.3倍 |
乳がん | 1.5倍(閉経前) |
副鼻腔がん | 2倍 |
虚血性心疾患 | 1.3倍 |
脳卒中 | 1.5~2倍 |
気管支喘息の発症、もしくは悪化 | 1.5~3倍 |
COPD(慢性閉塞性肺疾患) | 2~5倍 |
参考 受動喫煙とおとなの健康
♦子供の受動喫煙関連疾患例
病気・疾患名 | リスク増加度 |
乳児突然死症候群 | 2~5倍 |
気管支炎、肺炎 | 1.5~2倍 |
気管支喘息 | 1.5倍 |
中耳炎 | 1.5倍 |
成人期の糖尿病、心臓病 | 2~4倍 |
小児白血病・リンパ腫・脳腫瘍 | 2~5倍 |
このように受動喫煙であっても、重篤な病気になることが分かります。
実際に受動喫煙が原因で発症した肺がん、虚血性心疾患だけでも年間6800人もの方が亡くなっているデータもあります。
これは、非喫煙者が喫煙者よりタバコの煙への感受性が強いことも原因の1つです。
非喫煙者は副流煙にさらされると、喫煙者が1日に5~10本タバコを吸っているのと同程度の影響があります。
また、小児期での受動喫煙は、小児期だけでなく成人になってからの疾患のリスクにつながることが分かります。
日本は受動喫煙対策の後進国
現在日本では、受動喫煙を完全に防止する為の法律はありません。
健康増進法に受動喫煙の防止の項目がありますが、特に罰則がない努力義務のみで、徹底されていません。
しかも、世界からみれば日本は受動喫煙対策は最も低い水準とまで言われているほどです。
例えば、アメリカでは既に飲食店など公共の場では、タバコは吸えません。
こうした現状により厚労省を中心に、新たな受動喫煙対策として受動喫煙防止の規制強化を検討しています。
さいごに
受動喫煙による非喫煙者への影響は、様々起きることが分かりました。
しかも、最悪ガンまで発症してしまう可能性もあります。
パートナーや子供への影響が心配であれば、すぐにでも禁煙してみてはいかがでしょうか。