慢性膵炎の予防・症状について

膵臓というのは胃の裏側にある消化液やホルモンを分泌する臓器になります。
この膵臓になんらかの原因で炎症が起こってしまうのが膵炎です。

膵炎が起こってしまうと非常に強い痛みだけでなく、ホルモンバランスの変化による糖代謝の異常や、消化吸収能力の低下など様々な弊害が出てきます。

慢性膵炎

膵炎は診断と治療が非常に難しいので、しっかりと症状を把握し、適切な治療を受けることが重要です。

原因・メカニズム

慢性膵炎の原因は膵臓の内部を走っている膵管が目詰まりを起こしてしまうことで発症します。

膵管の目詰まりは主に膵石という膵臓の管の内部にできる医師が原因で、すい液が石灰化して固まってしまったり、胆のうから胆石が運ばれ、膵臓内で塊を作ってしまった場合によく発症します。

膵石ができると非常に強い膵臓の炎症が起こり、一過性の急性膵炎が発症します。
この時に適切な治療が行われ、膵炎が緩和されればあまり問題にならりません。
ですが、症状を放置してしまったり、痛みを我慢してしまい炎症を継続させたりしてしまうとやがて慢性膵炎になってしまう可能性があります。

慢性膵炎になると膵臓の機能が著しく低下してしまい、様々な不快症状が出てきます。
膵臓の機能低下を防ぐためにも、いち早く治療にこぎつける事が重要なのです。

症状

慢性膵炎の症状は背中の痛みが主体となります。
膵臓はお腹の奥深く、背中に近い部分に位置している臓器なので痛みは腹部ではなく、まず背中側に起こる事が大半です。
ちなみに、通常以下のように脾臓の前方に胃があるため見えません。

脾臓の位置

炎症が広がってくるとやがて腹部全体に痛みを感じるようになり、腹部を押すと固く張ったような状態になる事が大半です。

このような慢性膵炎の症状は痛み以外にも外分泌・内分泌両方に多大な影響を与える事が知られています。

内分泌的な影響の代表はまずホルモンバランスの崩壊です。
膵臓からは、糖尿病にも影響するインスリンやグルカゴン、ソマトスタチンというホルモンが分泌されていて、これらのホルモンの分泌が低下してしまうと全身に様々な悪影響が出てきます。

膵臓が壊れてしまう事で血糖値の調節が効かなくなったり、すると糖尿病のような高血糖状態や急激な低血糖発作などの危険な病態を招いてしまうので、注意が必要です。

一方、外分泌部に引き起こされるトラブルは内分泌部と異なり主に消化吸収に関与するトラブルです。
消化酵素が膵臓から十分に分泌されなくなると小腸からの栄養分の吸収がうまくいかず、栄養失調のような状態になってしまう事があります。
消化酵素による消化に不備が起こると様々なトラブルが起こるので、慢性膵炎には気をつけなくてはなりません。

予防方法

慢性膵炎の原因は、主に喫煙と脂肪分の取りすぎとアルコールです。
これらの原因を防ぐことで適切な予防策を講じることができます。

アルコールの制限

アルコール分を過剰摂取してしまうと膵臓の機能に異常が起こります。

飲酒

急性膵炎の原因の大半はアルコール摂取です。
このまま慢性膵炎に移行させないためにもアルコールの摂取を控え、適度な分量を楽しむように心がけるのが適当です。
アルコール摂取のコントロールがうまくいかない場合には医師のサポートを受ける事ができます。
禁酒治療や生活習慣の改善を通じてお酒と上手な付き合い方を身につけましょう。

低脂肪食

低脂肪食も慢性膵炎の予防に効果があります。

脂肪

脂肪分の摂取は胆石を作る原因になってしまうので注意が必要です。
特にコレステロールを多く含む食品は胆石を作りやすいと言われていて、卵の黄身やマヨネースを食べるときには注意しなくてはならないのです。

脂肪分をあまり含まない食事を続けているとやがて消化酵素の分泌も抑えられ、慢性膵炎の原因となる膵石も作られる可能性が低下します。
慢性膵炎になってしまうと非常に困ったトラブルが増えてしまうので、日常の食生活に注意するように心がけてください。

運動

運動を行うことで体内の脂質を減らすことができます。

運動

脂質過多な体質だとどうしても様々な病気の原因になってしまい、慢性膵炎もこの肥満による悪影響を強く受けることが知られています。
運動を行い体脂肪率を下げ、膵臓周りの内臓脂肪を落とすように注意しましょう。

禁煙

禁煙することで得られるメリットは肺がんの予防だけではありません。
膵臓にタバコの成分が入り込んでしまうと血管が収縮し、炎症が悪化してしまいます。

タバコがやめられない

膵臓周囲の炎症が悪化することで痛みが強くなったり、膵臓の機能が低下したりと非常に厄介なトラブルが多発します。
慢性膵炎で困っている場合にはタバコを控えることが大切です。